Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合におけるBのAに対する代金債務(以下「本件代金債務」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 1 Bが、本件代金債務につき受領権限のないCに対して弁済した場合、Cに受領権限がないことを知らないことにつきBに過失があれば、Cが受領した代金をAに引き渡したとしても、Bの弁済は有効にならない。
- 2 Bが、Aの代理人と称するDに対して本件代金債務を弁済した場合、Dに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
- 3 Bが、Aの相続人と称するEに対して本件代金債務を弁済した場合、Eに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
- 4 Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、Aに対して代金の支払を拒むことができる。
正解 1
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問題
Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合におけるBのAに対する代金債務(以下「本件代金債務」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
選択肢と解説
1
Bが、本件代金債務につき受領権限のないCに対して弁済した場合、Cに受領権限がないことを知らないことにつきBに過失があれば、Cが受領した代金をAに引き渡したとしても、Bの弁済は有効にならない。
誤り。 受領権限のない者に対して弁済をした場合であっても、債権者がその弁済によって利益を受けた限度において、その弁済は有効とみなされます(民法479条)。本肢では、受領権限のないCが受け取った代金を債権者であるAに引き渡しており、Aは利益を受けています 。したがって、Bに過失(受領権限がないことを知らないことについての不注意)があったとしても、この弁済は有効となります 。
2
Bが、Aの代理人と称するDに対して本件代金債務を弁済した場合、Dに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
正しい。 「受領権限があるかのような外観を持つ者(受領権限者としての外観を有する者)」に対して、善意かつ無過失で弁済したときは、その弁済は有効となります(民法478条)。本肢のDのように、債権者の代理人と称して受領する者もこれに含まれるため、Bが善意無過失であれば弁済は有効です 。
3
Bが、Aの相続人と称するEに対して本件代金債務を弁済した場合、Eに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
正しい。 債権者の相続人と称する者(E)は「受領権限者としての外観を有する者」に該当します 。したがって、Bが善意無過失でEに弁済した場合には、その弁済は有効となります 。
4
Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、Aに対して代金の支払を拒むことができる。
正しい。 売買契約のような双務契約では、当事者の一方は、相手方がその債務の履行(または履行の提供)をするまでは、自分の債務の履行を拒むことができます。これを「同時履行の抗弁権」といいます(民法533条) 。たとえ代金の履行期が過ぎていても、Aが建物の引渡しを提供しない限り、Bは支払を拒むことができます 。